2001年9月読書会「てつぼう」
スター☆ガール ジェリー・スピネッリ 千葉茂樹 訳 理論社 2001年8月(著者紹介へ)
Stargirl Jerry Spinelli 2000 Random House Children's Book's
登場人物
レオ・ボロック:マイカ・エリア・ハイスクールの2年生。「ホット・シート」という番組のプロデューサーをやっている。4年前にアリゾナに引っ越してきた。ヤマアラシのネクタイを集めている。
スターガール・キャラウェィ:ずっと家で勉強していたが、学校に来ることになった。1年生。砂色の髪、大きな目、変わった服、ウクレレを弾き、シナモンというネズミを連れている。
ケビン・クィンラン:レオの友だち。「ホット・シート」の司会者。レオと同じときに引っ越してきた。
アーチボルド・ハプウッド・ブルベーカー:古生物学者。骨の家に住んでいて、土曜日に集まる子どもたちに教えていた。「化石結社の一味」と子どもたちを呼んだ。実在の人物、ローレン・アイズリー(1907〜1977)がモデル。
ヒラリー・キンブル:スターガールを手嫌いしている。口と悪ふざけとウェイン・パーの彼女ということで有名。
ドリー・ディルソン:茶色の髪の女の子。体の半分はあるようなルーズリーフを持ち、それに詩を書いている。スターガールが「シャン」されても最後まで友だちでいた。
ウェイン・パー:誰もが認める美男子。
あらすじ
スターガール・キャラウェイがマイカ・エリア・ハイスクールにやってきたとき、そのエキセントリックさに、学校は騒然となった。彼女は開拓時代のような服装をし、化粧はせず、ヒマワリの絵のカバンを持ち、ウクレレをランチルームでかき鳴らし、歌った。カバンの中にはシナモンという名のネズミが入っていた。
彼女はなんのジョークもないときに笑い、音楽のないときに踊った。生徒が誕生日のときは、その生徒のために歌った。
初め、みんなは、ひいていた。しかし、みんなゆっくりと彼女を受け入れていき、彼女が次に何をしでかすのかを期待するようになる。フットボール・シーズンの終わりには、熱狂的な人気を得るようになる。弁論大会で「妖精フクロウよ、ファーストネームわが名を呼べ」で学校を代表して州のの最終決勝戦へ進むことになる。また、チアリーダーに誘われ、メンバーになる。
スターガール以前、みんな同じようだった学校中、それぞれの個性が爆発。みんないろんな活動にせいをだし、また、ネズミが飛ぶように売れる。
しかし、バスケットボール部が破竹の連勝をし、チアリーダーであるスターガールが、相手チームの得点のときにも喜ぶのに、反感がふくらみ、スターガールはみんなから無視されるようになる。その頃から、レオはスターガールと付き合うようになるが、やがて、レオも「シャニング」(shunning)されるようになる。レオはスターガールを説得して普通にさせるが、(スターガールはスーザンと名乗りだす)それでも「シャニング」は止まらない。州の弁論大会で優勝しても、誰も(ドリー・ディルソン以外)祝ってくれる人もいない。その翌日から、スターガールは元の彼女に戻る。そして、レオさえも最後にはスターガールに背を向けてしまう。
オコティーヨ・ボールの日、スターガールはみんなの注目を一身に集め、みんなを先導し、バニーホップを踊る。しかし、その後、スターガールはみんなの前から姿を消してしまう。
感想
スターガールに魅了された。そして、登場人物それぞれが、全て、生き生きとしていて、リアリティがあり、ストーリーに没頭して最後まで読んだ。
著者は「みんなと同じようにすることと、人気者になることのために、自分を捨てるか?」という問いかけをしているが、それは、とても難しい質問。ほんとの意味で、「自分らしく」や「個性的」であるのは、どういうことなのかを考えさせられた。
利己心のかけらもないスターガールだけど、家に「幸福のワゴン」を置いて、その中の石の数(全部で20ある)で幸せの度合いを表しているのが、やはり、自分のこともしっかり見つめている。そのことが余計にスターガールを「どこかにいるかもしれない女の子」と感じさせた。
ラストはハッピーエンドとは言えなかったけど、そのことも、より、現実的で、悲しさといつまでもつづくスターガールのやさしいまなざしが心にしみるようだった。
アーチーという人物もとても魅力的で、モデルとなったローレン・アイズリーの著書も読んでみたい。

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