第14回 
No One's A Mistery
Summary 2003,4,30 


謎めいてる人なんていない
しおぴー

 十八歳の誕生日にジャックが五年日記をプレゼントしてくれた。十セント硬貨ほどの地位さな鍵つきのものだ。私はジャックのピックアップ・トラックの助手席に座っていて、鍵をいじってみたが、どうにも開きそうにない。そうこうしているうちに、ジャックは反対車線を自分の妻のキャデラックが走っているのに気づき、私の頭をトラックの汚い床へ押し込んだ。たばこの匂いがする。それから、テープから流れてくるロザンナ・キャッシュの歌声。私たちはテキーラを飲んでいた。その瓶はジャックの足の間に挟まっているのだが、その瓶のあるジャックのリーバイスの股の縫い目、それから膝の部分はいつも白っぽくなっている。まだ新しいジーンズだというのに。ジッパーがきらりと金色に光って見える。
ジャックは、妻のことを愚痴る。昼でもライトをつけて運転すること。「航空機がスピード監視中」という看板を信じて時速五十五マイルの法定速度を守っていること。
 「しゃべっていると、口が動くから、奥さんに誰かと一緒だと怪しまれるわ」と言うと、ジャックはラジオに合わせて歌ってると思うさ、と答えた。
 ジャックはハンドルに手を置いたまま指だけを上げた。ジャックの妻のホーンがテンポよく二度鳴るのが聞こえた。ジャックは時速八〇マイルを軽く超えて走っていた。私はジャックのブーツを眺めた。皮に縫い取られたヘラジカの頭は、その縫い糸がほつれてきている。つま先は擦れて、かかとから靴底にかけてはどろどろの肥料がこびりついている。ジャックは私が知る限り、このブーツを二年も履いている。ロザンナ・キャッシュが歌っている。「あたしに関心を持つ人なんていないし、謎めいてる人なんていない。」
 ジャックが「彼女、有名になるかな」と言う。トラックの床にソーダのふたがごろごろしていて、子供が裸足で乗ったら、怪我をすると言うと、「お前以外に子供なんて乗ることはない」とジャックは答える。「なんでこんなに汚くしておくの?」と尋ねると、「なんで」なんてそれこそ子供みたいなしゃべり方だ、とジャックは言った。
 妻は振り返ったりしないから、もう座席に戻っていい、とジャックが言う。どうして振り返らないとわかるのかと尋ねると、ジャックは「ただ、わかるのさ。お前が日記に何を書くかもわかるぞ」と言う。
 今夜はきっと、こう書く。ジャックを愛してる。この日記帳はジャックからのプレゼント。私がジャックを愛しているほどに誰かが誰かを愛してるなんて考えられない。来年はこうだ。ジャックのどこがよくて、いつもあのトラックに乗ってたんだろう。セックスのことは教わったけど、ここシャイアンじゃ他にすることもないし。再来年。あのおじさんの名前はなんだっけ。くせっ毛で汚いピックアップ・トラックに乗ってたひま人。
 そんなこと書かないわ。こうよ。ジャックを愛してる。この日記帳はジャックからのプレゼント。私がジャックを愛しているほどに誰かが誰かを愛してるなんて考えられない。来年はこうよ。もうじきジャックが戻るわ。おばあちゃんからもらった麻のクロスに銀食器、それから結婚式であまった黄色いろうそく。テーブルのセッティングは完了。でもナバラ風トラウトを食べ終わるまで、セックスするの、がまんできるかしら。再来年はこう。もうじきジャックが戻るわ。私たちのジャックは夕ご飯が待ちきれないみたい。「ママ」と「パパ」以外の言葉を今日初めて言ったわ。「うんち」って。三年後はこう。エリザ・ロザムンドにおっぱいをやっていて、乳首が痛いわ。エリザの息はバニラの匂いがして、目の色はジャックと同じ青。
 そりゃあいいな、とジャックは言う。お前の日記の方が好きだけど、でも、俺の言ったとおりになるさ。「私は自分のを信じるわ」と言うと、心の底では違うだろ?とジャックは返す。そんなことないわと言うと、ジャックは答えた。「そうに決まってるさ。それにだ、赤ちゃんの息は母乳の匂いで、なんていうかほろ苦い匂いなんだよ、本当は。」

**********
現在まじめに恋愛をしている少女と、この少女とこれから先ずっと一緒にいるわけではないと思いながらも、付き合いを重ねる中年男性。
…というところでしょうか。
この男性、奥さんのことをけなしているけど、離婚までする気はないんでしょうね。 \\ どう思いますか?

謎めいた人なんていない
ごえべえ

 18の誕生日にジャックは小さな鍵がついた五年使える日記を贈ってくれた。彼の横で、私がそのいかにも役に立ちそうにないその鍵をいじっているとき、彼の奥さんのキャデラックがこっちに向かってきた。彼は私の頭を押さえて、私をピックアップトラックの汚い床に押し込んだ。
灰皿から彼のたばこのムスクの香りを吸い込み、テープから聞こえるロザンヌ・キャッシュの歌を私は口ずさんだ。床にはテキーラのビンや缶のプルトップなどが散らばっていた。
「昼間なのに車のライトをつけてる女ほど嫌な女はいないよ。それがカミさんだ」
彼の奥さんはライトをつけていると安全なのだと信じ込んでいるらしい。奥さんの車が通り過ぎるとき、ジャクは軽く指をわずかにあげただけだった。
テープではロザンヌ・キャッシュが「誰も私を夢中にさせない。謎めいた人なんていやしない」と歌っている。「親の七光りでこの歌手、有名になってるのかな、それとも彼女の力だろうか」ジャックは言った。
私は床にたくさんプルトップが落ちていて、はだしの子どもが足を切るかもしれないと言った。彼は「君以外誰もこの車には乗りはしないよ」と答えた。
すぐにもう起き上がっていいよと彼は言い、奥さんは振り向くことなどないと言い切る。「どうして」と聞くと、「わかるんだ」と言い、私が家に帰ってから日記に書くであろう内容を言い出した。
「私がジャックを愛してるくらいに誰かを愛している人なんて想像つかない」。その通りだと思った。でも、一年後、「ジャックがセックスを教えてくれたのは確かだけど、私は彼を本当にわかっているんだろうか。ただピックアップトラックで横に座っていただけなんじゃないか」って書き、二年後には「あのオジン、なんて名前だっただろう。あの汚いトラックの巻き毛の男」って書くだろうと言う。
そんなこと書かない、一年後には結婚していて彼の帰宅を待ちきれないと書き、二年後には男の子ができて、パパやママ以外に初めて「kaka(ウンチ)」と話したと書いてるわ、と私は言った。
彼は面白がって笑った。三年後には二人目の女の子ができて彼女の息はバニラの香りがするの、と私が言ったら、「それはいい、君の考えのほうが俺のよりずっと気に入った」と彼は言った。
「でも、本当のところ、自分の考えが当たってるのさ。そして女の子の息は君のミルクの匂いで甘くて苦い匂いがするんだ」と言った。


相手の男は何歳なんでしょうね? 夢見がちで相手を理想化してしまいやすい18歳の彼女、現実をシビアに見ている年上の男って感じですよね。
奥さんは鈍い人なのかな・・・

謎めいた人なんていないわ
shio

 18歳の誕生日、ジャックがチャチな鍵のつい5年用の日記帳をくれた。役に立たなそうな鍵をいじってたら、ちょうど、奥さんの車がこっちに向かってくるのが見えたらしく、ジャックはあたしの頭を、ピックアップトラックの床に押しつけて隠した。ロザンヌ・キャッシュの歌がテープデッキから流れてた。
 奥さんは、安全のために昼間からライトをつけて走ってるらしい。制限速度でしか走らないくせに、とジャックは不満そうだ。口を動かしてると一人じゃないのがばれるわよ、と言ったけど、ラジオにあわせて歌ってると思うだけさ、と気にしない。ジャックが指だけ上げて合図すると、奥さんはクラクションを2回、歌うように鳴らして応えた。
 ロザンヌ・キャッシュの歌が続いてる。"私に興味を持つ人なんていないわ。謎めいた人なんていないわ"
 「なんでこんなにプルトップが落ちてるの?子供が裸足で歩いたりしたら危ないじゃない。なんでこの床、こんなに汚いの?」
 「お前以外、この車に子供なんて乗らないさ。なんでなんでって、お前こそ子供みたいだな。さ、もう席に戻ってもいいぞ。あいつは振り向いたりしないから」
 「どうしてわかるの?」
 「俺には何でもわかるのさ。お前がその日記に何を書くかってこともね」 \\  「あたしが何を書くって?」
 「今夜はこう書くな。ジャックを愛してる。こんなに誰かを愛せるなんて。来年にはこうだ。あたし、ジャックの何を見てたのかしら。セックス以外に何も教わらなかったわ。そして次の年にはこう。あの男、なんて名前だったかしら。巻き毛で、汚いピックアップに乗ってたあの男」
 「そうじゃないわ。今夜はそうね。ジャックを愛してるわ。こんなに誰かを愛せるなんて。来年はこうよ。ジャックがそろそろ帰ってくるわ。テーブルもセットできてる。でも、食事が終わるまで、ジャックと愛し合わずに我慢できるかしら。二年後。ジャックももう帰ってくる頃だわ。ジャックジュニアがお腹をすかせてる。今日はパパ、ママのほかに、カカ(うんち)って言葉も覚えたのよ。そして次の年。エリザにおっぱいをあげた。この子の息はバニラの香りがするわ。そして目はジャックそっくりのブルー」
 「そいつはいいね」  「どっちが好き?」
 「お前のほうが気に入ったよ。だけど、現実は俺が書いたようになるのさ」
 「そんなことないわ」
 「心の底ではそう思ってないだろう?それにな、赤ん坊の息はおっぱいの匂いがするけど、それは本当はちょっと甘くて苦い匂いなのさ」

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また遅くなっちゃってすみません!
急いで読んで、急いでサマリー書いたんで、ちょっと変かもしれないけど、とりあえず出しちゃいますね。
こういう男・・いるんでしょうね。
何だかなぁ、って感じですが。

今回のお話、男はなんで誕生日に5年間書ける日記なんて贈ったんでしょうね? そんなに長くつきあえるはずもないと考えていたのに。でも、心の片隅で長くつきあっていたいって、思っていたのかな。
汚いトラック、まだ新しいのに色が抜けてしまっているジーンズ、この男って、職業はなんなんでしょう?
いろんなことを思い巡らせてしまいました。
みんな困ったのはまとめにくいってこと。どこを省けばいいのやら・・・
面白い話だけに手を焼きました。

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