第28回 
The Bank Robbery
Summary 2004.6,30 


テントワーム
ごえべえ
 ビリー・フォックスワースは海辺の避暑地の別荘に来てから、ずっとテントワームのことでぶつぶつぼやいてばかりいる。妻のクララはテントワームなど少しも気にならない。避暑地中の葉をテントワームが全て食べてしまおうが、この別荘に二度と来ることはないだろうし、ちっとも構わない。彼女は自分の世界で空想してビリーの言葉もまともに聞いていなかった。
でもある日、煙の匂いにはっとした。ビリーが新聞を燃やして、テントワームのいる木の葉を燃やしていた。そんなことをしても無駄だと言っても、ビリーは百万匹いたとしても焼き殺すとやっきになっている。
そのとき、精神分析医から電話がかかり、ビリーの様子を尋ねた。クララはもう我慢の限界だと訴えた。医師は「かつてのことを思い出しなさい」と言った。クララとビリーの愛はとうに終わっていた。ビリーは気づいていないだけだ。
新聞とマッチを切らし、ビリーが戻ってきて、クララから少し離れた場所に座った。ビリーも、二人の愛が終わっていることを気づいていた。それを知ったとき、クララは自らビリーに近づき、彼の焦げた手の上に自分の手を置いた。波が静かに打ち寄せていた。


最後がよくわからなかったのですが、これ、クララは仲良くしよう、二人の愛を取り戻そうと思ったってことですよね?

テンマクケムシ
しおぴー
 ビリーとクララの夫婦は、ある夏、別荘を借りて滞在していた。夫のビリーは別荘の周りの木に巨大な天蓋の形をした巣を作ったテンマクケムシ退治に必死である。妻のクララにとってはそんなことはどうでもいいことだ。それは、夫の知らない夫についての事実が、妻の心を苛んでいるからである。
 クララは夫を放っておいて、テラスに出て本を読んでいたところ、何かを燃やす匂いが漂ってくる。ビリーがテンマクケムシを焼いているのだと気付き、驚いて、ビリーに向かって一体何をしているのかと叫ぶが、ビリーが、ここを去る前に全部やいてやるというのを聞いて、あきらめてテラスに戻った。
 テラスでクララは想像の世界に入る。誂えた喪服に美しく身を包み、護衛を従え、リムジンで街から劇場、劇場からアパートへと進む…。こんな想像をしたって、おかしくはない。もう愛情は五年ほど前から冷めている。可哀想だとは思うが、ビリーがいなくなることを悲しいと無理して思う必要はないはずだ。
 と、そこへ、ビリーの主治医からの電話が入る。クララは、ビリーにその病状を告知しようとしない医師に対し、自分の焦燥をぶちまける。医師は、昔のことを思い出してごらんと忠告する。
 クララが電話からテラスに戻ると、夫は憔悴しきった様子で、クララの椅子からやや離れた場所に椅子を置いて腰掛けていた。新聞紙とマッチが尽きたので、あきらめたのだと言う。クララが、テンマクケムシなんて!と叫ぶと、ビリーは、植物に虫がつくのは、人間の体に虫がつくようなものだな、と言う。クララが、ここは夏の間借りただけで、もう二度とくることもないのに、と言うと、青春時代と夏の別荘っていうのは似ているな、と言う。そして、クララは、夫が自分の病気を知っていることを悟った。
 陽が落ち、暗くなっていく。クララはふらふらと椅子をビリーの近くに寄せた。しばらくして月が地平線から昇ると、クララは手をビリーの手に重ねた。クララは、もう戻ってくることもない別荘のテンガイケムシを焼き尽くすのと同じように焼き尽くされてしまった、昔の互いに対する情熱を思い起こしていた。


不治の病か何かに冒された夫に告知せずに生活を送って耐えてきた妻の焦燥と、実は夫が自身の病気を知っていたことを妻が知った後の心の変化を書いているのかなと思ったのですが。
夫がいなくなったって平気よ、と、妻はいろいろ想像に走ったりしているようですが、最後のシーンを読むと、本当は心の底では寂しいのに強がっていたのかもしれないなぁとも思います。


この作者Tenessee Williamsは「欲望という名の列車(A Streetcar Named Desire) (」や、「ガラスの動物園(The Glass Menagerie)」の作者だったんですね。この夫婦、夫の病気で、破綻しかけてはいるけど、またこれがひとつの山で、二人で乗り切り、いい夫婦になっていくように思いました。
この短編集を読んでいると、思いがけない、著名な著者に、ほんの短い文章でも原文で読めるというのが、醍醐味でもあるな、と思いました。
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