第十ニ回 
The Moving
Summary 2003,2,28 


炭鉱町を出る
ごえべえ
 僕たちは荷を積んだ荷車のそばで、お父さんが窓をうちつけ、家の鍵をかけているのを見ていた。閉鎖になったハードステイ炭鉱の人たちがたくさん僕たちの出発を見に来ていた。
  悲しんでくれているのは、変なものをありがたがるヒグの息子だけだった。他の子どもは、僕たちの出発後に、窓ガラスをわろうと、ポケットに石を忍ばせていた。
 スーラ・バッシャムがお母さんに近づき別れの挨拶をした。とっても背の高いスラのことをロス・トランブルが罵り、それを聞いて笑う声が上がった。スラは今、炭鉱を出るお父さんのことをほめ、いずれみんな出て行くことになるだろうと言った。
  それに対して「家を捨てて家族をジプシーにさせるのは罪だ」とシルが言った。
  お父さんが鍵を持ってやってきて、「もし、誰かが売店の近くで鍵を拾ったら、受け取ってくれ」と言った。お父さんにシル・ラブロックは家に留まるのが聖書の教えだと言うと、お父さんは「枯れた炭鉱に留まっているよりなんとか仕事を見つけようとさまようほうがいいんだ」と憤慨した。ロスが「もし、あんたがのっぽの未亡人を連れて行って、旦那を探してやるんなら、その鍵、運んでやるよ」と言った。笑いがおこった。
  スーラは怒って、「ここの男は私に合う人がいないのは確かだろうが、ここに私はいなきゃなんない」と言った。でも、シルは無視した。
  お母さんはスラをなぐさめた。そして二人は互いに決して忘れないと約束した。僕たちは荷車に乗り込んだ。町を離れる悲しみで胸が痛んだ。荷車は出発し歓声が起こった。ロスがスラを悪し様に罵ることを言った。シルはまだ、出て行くのはばかげたことだと叫んでいた。お母さんの胸にはスラのロケットがぶら下がっていた。振り返ると最初の窓ガラスが割られる音が聞こえた。
  スーラはロスを殴っていた。ヒグだけが僕たちを見送っていた。
 

 一番最初に掘りつくされそうな炭鉱を出て行く家族を息子の立場から描かれていて、自分の生まれた町から出て行く悲しさと、自分たちが出て行くのを惜しんでくれる人がほとんどいないこと、背の高い未亡人のこと、いろんなエピソードが織り込まれていて面白かったです。でも、ディテールがわからない(方言だろう)単語が多かったのが辛かったです。
 夕べは眠っちゃって、書けなくて、〆切過ぎちゃいました。
別れ
しおぴー

 父さんが今まで住んでいた家を閉めている。ハードステイ炭鉱は閉山し、仕事のない男たちが集まってきて、僕らが出て行くのを眺めている。子供たちは、ポケットに石をいっぱいにして、閉めた僕らの家の窓を見やっている。女たちはそれぞれの家のポーチから見ていて、その中から一人の未亡人が母さんにさよならを言いにやって来る。スーラという背の高い女だ。スーラが母さんの前に立つと、母さんはスーラを見るためにまるで天を仰ぐような格好になる。スーラの胸のロケットペンダントが揺れる。母さんはアクセサリーなど身につけたことがない。スーラは言う。「あんたの旦那はえらいよ。ここの山はもうおしまいだ。どのみちみんな、ここを出なきゃならなくなるんだから」と。それを聞いていた男の中からシルが、ここを出たって、ケンタッキー川流域に仕事なんかあるものか、と言う。男たちはそれを聞いて満足そうな声を上げる。
  父さんは、家の鍵を売店へ返してくれるよう募るが、出てきたのはヒッグだった。父さんはヒッグのような、あまり聡明とはいえない男に鍵を預けるわけにはいかなかった。シルが、スーラを連れていって、誰か新しい男を見つけてやってくれるのなら、鍵を預かろうとからかう。スーラは怒るが、母さんがなだめる。母さんは、スーラの胸のロケットペンダントを眺めている。スーラは、自分が鍵を預かろうと言う。ロスがスーラを指差して、他の男たちに「ずっと頭上の方の女と結婚しようっていう独身男性のあつまりじゃなかったのか?」と言う。スーラはあんたたちなんかごめんだよ、と答えると、幌馬車に乗った母さんのそばに行き、「あたしの連れ合いが死んだ時も、棺に入っちまった後も、あんたは助けになってくれた。忘れないよ。忘れないしるしに何か形見を渡せたらねえ」と言った。母さんは、「頭の中で覚えているよ」と言い、スーラはそう聞いてうれしいと答える。
  父さんに乗るように言われて、僕も幌馬車に乗る。後ろ側から積荷のてっぺんへ登る。ハードステイのキャンプ全体が見渡せる。去っていくのがつらい。と、馬をつないだ轅が地面に落ちる。シシィのいたずらだ。だが、父さんは気にせず、笑って馬具を繋ぎ直す。
  ロスが叫ぶ。「この未亡人を連れて行かないなら、この女をバカのヒッグと結婚させちまうぞ」。
 僕たちは、出発した。シルの声が耳に残っている。「お前たちの寝床は地獄だぞ!」と。僕がふと母さんを見やると、その首には金色のロケットペンダントが下がっていて、胸を心臓のように打っている。
  振り返ると、ちょうど僕らの家の窓に最初の石が投げられて、割れたところだった。ハードステイのキャンプを、僕はまるで死人の顔を見るように眺めていた。男たちがスーラから後ずさっている。ロスがスーラに殴られ、その前に跪いている。ズボン吊りを切られたヒッグが尻のあたりを引っ張り上げながら、片手を突き上げ、叫んでいる。おうい、おうい。


 うーん、なかなかまとめにくいものですね。
  またしても遅刻してしまいましたが、なんとか書いてみました。
 ごえべえさんの単語集に感謝!「ハードステイ」って、やっぱり地名でしょうか、悩みます。よっぽどひどい場所だったんだろうなぁ。
  タイトルも悩みました。「お引越し」っていう雰囲気ではないですもんね。ごえべえさんの、「炭鉱町を出る」はうまい!あたしも"leave"の線でいろいろ考えてはみたのですが、いいのが浮かびませんでした。とほほ。

旅立ち
shio

 僕たちは、家財道具を積み込んだ荷馬車のそばで、親父が戸口の鍵を閉めるのを待っていた。ハードステイ炭坑は、ずっと開店休業状態で、暇をもてあました男たちが塀に鈴なりになって見物してるので落ち着かない。男の子たちは、ポケットを石でふくらませて、うちの窓ガラスをのぞいている。
  女たちは戸口から遠目に見ているだけだが、未亡人のスーラだけがお袋に別れを告げに来てくれた。とても背の高い女で、胸には金のロケットを下げている。お袋は小さいので、スーラを仰ぎ見るような形になる。するとロケットが目に入る。今まで身につける飾りなど、
  何一つ持ったことがないお袋は、心に刻みつけておこうとするようにロケットを見つめた。スーラはお袋に言う。「ここを出て行くあんたの旦那は立派だよ。どのみち、この炭坑はお終いよ。みんな、出ていくか、さもなきゃ飢え死にするしかないからね」 \\ 親父は家の鍵を誰かに託そうとするが、ちょっと抜けたヒグ以外、誰も手をあげようとせず、他の男たちは、ここを出てどうする、仕事なんかあるものか、と騒ぎたてるばかりだ。親父は「ここで干からびるより、外で苦労して仕事を探したほうがましさ」と答えた。
  「あたしが鍵を預かるよ」とスーラが言う。男たちはしきりにスーラをからかうが、スーラは相手にしないで、荷馬車に乗り込んだお袋に話しかけた。「うちの人が死んだとき、本当に親切にしてくれたね。何か記念になるものでもあげられるといいんだけど」お袋が、スーラのことを忘れないと答えると、スーラは喜んだ。
  出発の準備ができて、僕も荷台に上った。ここからだと、炭坑町の全体が見渡せる。いよいよここを離れるんだと思うと、胸が痛んできた。
  荷馬車が動き出した。男たちはまだ何かわめいている。ふとお袋のほうを見ると、胸には金色のロケットが輝いていた。町のほうをながめていると、うちの窓ガラスに石が投げられて割れる音が聞こえた。スーラが誰かを殴っているのも見えた。ヒグだけが、僕たちの旅立ちを見つめながら、「おーい、おーい」と叫んで手を振っていた。

 -----------  また遅くなってしまってすみません。週末にゆっくり読もうと思ったら、週末はすでに3月でした。(^^ヾ
  なかなか、まとめるのも大変でした。(というか、最後までまとまってないんですが)
  スーラとヒグ以外、人名を省略しちゃったら、何だかわかりにくいですね。どこを残してどこを削ればいいのか、毎回悩みます。

今回は前回があっけないほど簡単だったのと対照的に難解でした。方言が多かったのと、古い時代のしかも炭鉱町という特殊な環境が描かれていて、今までで1番たくさん単語を調べました。
内容的には時代が古いせいもあり、とっても文学的で味わい深い話でした。
もう閉鎖された炭鉱町に居座るより、どこかへ行って、仕事を探したほうがいいと、町を出て行く父。生まれ育った町からでる寂しさ、そしてまったく未知のところへ行く当てもなく出発する不安。
町のみんなの反対の声、応援してくれるスーラは町のみんなからからかわれ・・・
象徴的に描かれる金色のロケット。
友情って、家族って、生活していくことってなんだろうな、とふと考えました。

今回、筋を追うだけのような要約になってしまい恥ずかしいです。しおぴーさん、shioさんの素敵な要約、見習いたいです。(私って、慌てすぎて、落ち着きが無いのが文章にでちゃうんですよ。反省)
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