第16回 
Yours
Summary 2003,6,30 


きみの方が
ごえべえ
 アリソンとクラークは夫婦、クラークは78歳でアリソンは35歳と年は離れている。二人とも背が高くて、どことなく顔が似ていた。アリソンがかぼちゃを買って帰ると、クラークは、小枝や枯れ葉の散らばったポーチで所在なげにしていた。彼女は小さいかぼちゃをひとつクラークの膝に載せ、「普通の顔に彫ってね。子どもたち用よ」と言った。デスクの上にメイドのメモや郵便物が置いてあった。クラークの親類からの手紙には「あんたはすっかりだまされているだよ」と書かれていて、イエス・キリストからの小切手が同封されていた。
二人は夜遅くまで、果物ナイフ、スプーン、スイス・アーミー・ナイフを使って、中身を取り出し、顔を彫った。クラークは以前、内科医をしていた。それに日曜水彩画家だ。彼の四つのかぼちゃは表情豊かで巧みに彫られていた。アリソンの四つの顔は随分見劣りする。
夜中の一時、かぼちゃは仕上がった。クラークはそのままじっとしていて、アリソンが後片付けをした。バージニアの夜は暖かい。庭の木に葉はなく。満月が出ていた。
「君のジャッコオランタンの方がずっといいね」
「どのへんがぁ?」
「僕を見て」
アリソンは彼を言われたようにした。
「君のは僕のよりずっといい」
「違うわ。灯りをともせばわかるわよ」
そして、彼女はろうそくを持ってきて、ひとつひとつのかぼちゃの中に入れ、火をつけ、かぼちゃを一列に並べた。
「わかったでしょ?」
二人はしばらく座ってオレンジの顔を眺めた。火を点したまま、二人はベッドに入った。

その夜、予告されていたよりも数週間早く、アリソンは死に始めた。「つけ毛が取れてたら、見ないで」アリソンは言った。そして鍵のかかったガレージについて何か言い残した。
クラークは妻ともう一度酔いたかった。酔って、彼くらいのささやかな才能を持つということは、ひどくやっかいなことだ、少しだけ特別なだけなのに、期待しすぎてしまい、自分を好きになれないんだと話したかった。クラークはアリソンが何も欠けたところなんてなかったんだと言ってやりたかった。クラークは電話をかけながら、ジャコオランタンを見つめた。ジャコランタンも彼を見ていた。

ちょっと長かったかな・・・不倫の末に結婚した二人なのかな? アリソンは癌だったんでしょうね。
最後のクラークの思いがいいですよね。

きみの
しおぴー

 アリソンは三十五歳、夫のクラークは七十八歳。二人とも背が高く、顔つきもよく似ている。アリソンはブロンドのかつらを付けている。午後は子どもデイケアセンターでボランティアをしているので、丈夫で明るい色合いの洋服を着ていた。
アリソンは車からハロウィンのランタン用のかぼちゃを運び、クラークに子どもたち用だから普通の顔を彫ってね、と頼んだ。
アリソンは玄関口で郵便物をチェックした。中に一つひどいものがあった。夫宛てに北に住む親戚からである。「老いぼれめ、騙されただろう!!」という手紙と共に小切手が同封されており、署名はジーザス・クライストとあった。
夜も更けゆく中、二人はランタンを作った。クラークは昔内科医で日曜には水彩画を描いていた。深夜の一時にはランタンが完成した。クラークの彫った四つのランタンは表情豊かですばらしい出来だった。アリソンの彫った四つは傷があったりゆがんでいたりと、クラークのものに比べると不器用なものだった。
クラークが「きみのランタンは、僕のよりずっとずっといいね」と言うが、アリソンは「何言ってるのよ、あかりを入れてみればわかるわ」と、ランタンにろうそくを灯した。
「ほらね」アリソンは言った。二人で少しの間オレンジ色に光るランタンを眺め、そして眠りにつくことにした。
その夜、アリソンは告知されていた時期よりも数週間早い死期を迎えていた。クラークはアリソンに、きみが見逃したもの、やり残したことなど何もないんだよ、と伝えたかった。
クラークは電話をかけながらランタンを見つめた。ランタンもクラークを見ていた。

このお話、好きだけど、とっても哀しい。
読み始めに何でかつら?って思ったけど、
ごえべえさんも書いている通り、きっと癌だったんでしょうね。

年齢差のある恋ということで、川上弘美の「センセイの鞄」を思い出しちゃいました。
それにしても、自分の年齢の半分しか生きてない妻に"you have missed nothing"って言うのって、もちろん心の底からそう思っているのだろうけど、でもつらすぎる。
クラークは、この後も天寿を全うするまで淡々と生きていくんだろうなぁ…。

きみの…
shio

 アリソンは車からカボチャを運び出した。夫のクラークは、裏庭に面したポーチにいた。35歳のアリソンに比べて、夫はかなり年上の78歳だが、二人はどこか似通っていた。
 アリソンは、クラークの膝に小さめのカボチャを乗せると、「普通の顔にしてね。子供たちのハロウィン用なんだから」と言った。
 郵便物を確認すると、クラークの親戚からひどい内容の手紙が届いていた。
 それから遅くまで、二人は裏庭に面したポーチに座り、カボチャをくり抜いては顔を彫った。元医者で日曜画家でもあったクラークのカボチャは、どれも表情豊かで芸術的だ。アリソンのほうは、それほどでもない。夜も更けた頃、ハロウィンのランタンはすべてでき上がった。クラークは見るともなく裏庭を眺め、アリソンはテーブルの上を片付けている。
 「君のランタンは、僕のよりずっと素晴らしいよ」
 「そんなことないわ。火を点けてみればわかるわよ」
 アリソンは、ろうそくを持ってきて、ランタンに火を灯した。二人はしばらくオレンジ色の灯を眺め、そのまま床についた。

 その夜、予告されていたより何週間も早く、アリソンは危篤状態に陥った。「かつらを取ったところは見ないでね。お願いよ」アリソンはクラークに言った。
 電話に向かいながら、クラークは裏庭を眺めた。アリソンに、君に足りないものなんか何もなかったよ、と言ってあげたかった。
 クラークは庭のランタンをじっと見つめた。ランタンもじっと、クラークを見つめ返していた。


またまた遅くなっちゃってごめんなさい。
いいお話だけど、哀しいですね。。

アリソンはクラークの患者だったのかな。

ほんとに、しんみりとしたいいお話でした。
私のSummaryが長くて、うまくまとめることができていないのが、情けないです。shioさんもしおぴーさんも、きちんとまとめられているのに、情感も表されていますね。
特に、アリソンが予定よりも早く、「危篤状態」になったというshioさんの表現、ああ、やられたぁっという感じです。
しおぴーさんも「死期を迎えて」と表現されていますよね。
私だけが 「死に始めた」なんて、began to dieそのままですよね。
お恥ずかしい!
それでも、「死にだした」では変だし、どう書けばいいかと考えたつもりだったんです。
キャー! 恥ずかしい!
もっと練った訳のSummaryを書けるよう、頑張ります!

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