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番外「この恋愛小説がすごい!2005」の誌面協力で読んだ本-1-
楽園に酷似した男」岩井 志麻子/「嫌な女を語る素敵な言葉」岩井 志麻子/「恋愛小説」川上弘美 小池真理子 乃南アサ よしもとばなな/「春、バーニーズで」吉田 修一/「 」姫野 カオルコ/「アカシア」辻 仁成/「グランド・フィナーレ」阿部 和重/「下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件 (完)」 嶽本野ばら/「東京DOLL」 石田 衣良/「東京奇譚集」村上 春樹/「愛するということ」小池 真理子/「いつかパラソルの下で」森 絵都/「人のセックスを笑うな」山崎 ナオコーラ/「あなたへ」河崎 愛美
 

岩井志麻子の作品は初めて読んだので、他のものと比べられないが、「貢いで貢いで貢いで」とか「笑って笑って笑って」とか「いじらしいいじましい」とか「よく考えてもちょっと考えても」など、繰り返しや似た言葉の連続、句点のない長い文章に、最初、驚かされた。

でも、「午前九時の陽光は糖度が高い蜜の色だ」や「愛は重すぎ恋は濃いすぎる」など、その表現にハッとするところが多かった。

性愛描写が多いのが、 エロティックとは思えなく、グロとも思えず、全編、乾いた絶望感に近いような死への渇望が感じられた。

男性が何人もの愛人のいる話はよく読んだ、聞いたことがある話だけど、女性が三ヶ国にそれぞれ愛人がいるという話は初めてだった。
結局、男も女もお金があれば、魅力的だと思う異性を何人でもほしがってしまうものなのだろうか?

恋愛というよりは、欲望にがんじがらめにされているような印象を受けた。

  「天頂より少し下って」(川上弘美)は、恋愛小説半分、母息子小説半分という感じだったけど、好感の持てる作品だった。もう成人してる息子に対して後ろめたくも重たくも感じつつ恋人と夜をすごす真琴の心情がよく伝わってきた。どこかしら、何もかもにある種のあきらめを持ったような雰囲気が感じられ、それが寂しく感じられもし、またよりリアルにも感じられた。

「夏の吐息」(小池真理子)は、少々重かった。失踪した内縁の夫を思い続け、待ち続けているのはいいのだけど、どうも湿った感じがして読んでいてしんどかった。小池真理子作品は結構好きな方だけど、これは、肌に合わない感じがした。

「夜のジンファンデル」(篠田節子)は、ほんのひとときだけど、忘れられない思い出をずっと持ち続けてる二人。性描写はまるでないのに、そのキスシーンがとてもエロティックに感じられた。ジンファンデルという葡萄のワインを飲んでみたくなった。

「アンバランス」(乃南アサ)四年同棲しているカップルの話。最初はどんどん女性が神経質になっていくようで、うっとうしい話に思えたけど、最後はホッコリさせられ、男と女の考え方、捉え方の違いがなるほどというように描かれていて、すごく納得させられた。

「アーティチョーク」(よしもとばなな)やっぱ、よしもとばななは、人の心に上手に訴えかけ、心にしみ込むように語り掛けるのがうまいなぁ〜と思った。おじいさんとの思い出、お酒のこと、いつ恋愛の話が出てくるんだろうかと思っていたが、その前フリがあるからこそ、後の恋愛の話が生き生きとしてきていて。人を好きになることって、いいなぁと思わさられた。そして、別れというものに対しても違った角度から捉え、おおらかな二人がとてもよかった。5つの短編の中で一番心に残った。
 

真っ黒の表紙に銀のタイトル、シンプルでまるで媚を感じさせないけどシックな装丁で、表紙からは内容がまったく想像できなかった。

ベタベタしたところがまるでないけれど、いい関係の夫婦が描かれた連作短編集。最後にはホロリとさせられる。

どういう経緯で結婚したのかはまるで触れず、夫、筒井の過去のことがいろいろと出てくるのに、夫婦の愛の深さがじんわり伝わってきた。

なめらかな文章と、つい人に話したくなるようなエピソード、物語の語られていない部分をあれこれ思い描いてしまった。

夫婦でお互いに嘘を付き合って、どちらが相手により強い衝撃を与えたかを競うゲームを妻の瞳が言い出して、するのだが、筒井は、つい本当のことを話してしまう。瞳は「う、嘘でしょ」と絶句してしまう。瞳が話したのは嘘なのか本当なのかわからないが、やはり、筒井を驚かせた。二人の間合いと互いに決してつっこまないのがすごい。

二人の物語をもっと読みたかった。

  現在30代前半の人たちが中学生だった頃、同じ長命中学で過ごした生徒や教師がその頃を振りえる連作短編集。

中学二年生の森本準子と国語教師の河村の関係が、それぞれの立場で描かれている。中学生らしいけれど忘れられない恋心と、性へ一歩踏み込んだ異質な匂いを放つ森本準子が妖しげで、それでいて壊れそうにもろそうで、魅力的だった。

中学生の自意識ばかり大きくて、それにがんじがらめにされ、興味や好奇心はあっても中々大胆にはふるまえない、危ういエロティシズムを強烈に感じさせられた。
信兵衛さんの レビュー
  辻仁成の小説はこれで二作目だが、どうして今まで読まず嫌いでいたんだろう。村上春樹とは違うけれど、作品の世界にすっぽり包まれて、酔うようにたっぷり楽しませてくれる。

五作の短編は全て名前がない「男」や「少年」が主人公になっているが、名前など必要ないのかもと思わされた。

「ピジョンゲーム」は今ひとつ、入れなかったけど、他はどれもこれも、どっぷり物語りの中にひたり込んだ。

設定も一風変っていて、ファンタジックでもあり、それでいてリアルなのがすごい。

「ポスト」は、一度も話したこともない女性との長期間に及ぶただ微笑むだけという関係が描かれているが、不思議で起こりそうにもないことなのに、心にしみるせつない話だった。

「明日の約束」は、医師が未開な現地人と暮し、住みつく話だが、日ごろ、疑問にも思わないことをいろいろと考えさせられた。

「隠し切れないもの」はコマが次々と切り替わる映画のようで、頭にそのシーンがいっぱい浮かんできた。小説なのに、同じ段落で描かれている時間が違う作品は初めてだった。場面が次々切り替わるのに、ちっとも混乱せず、視覚的に印象的に捉えられた。

「歌どろぼう」は、奇妙な設定でそれでいて、生きていく中で欠けてしまっては空洞みたいな人生になってしまうような普遍的なものが描かれていた。

恋愛小説と呼べるのは、「ポスト」だけかもしれないけれど、どれも夫婦や恋人に関することが描かれていた。
  なんとも嫌な性癖を持った主人公。「最低だ。軽蔑する」と何度も言われる主人公だけど、確かに、彼のしたきたことは吐き気を催しそうになるくらい、気分の悪くなるものだ。

こういう男が父親だと知ったら、娘はどう思うのだろうか。そして、離婚した妻はどんなに嫌悪感を持ったことだろうと寒気がした。

贖罪とまでは行かないが、後半は、その彼が無償で下心もほとんどなしに、仲良しの小学6年生の女の子二人の手助けをしようとする。前半での I の言葉がずっと重く響いているのがわかる。

恋愛小説とは言いがたい。でも、さすがに芥川賞受賞作だけあって、巧みな文章で、嫌でたまらない男が描かれているというのに、感情移入して読んだ。
  十編の短編小説。
ほんとうに、嫌な女がいっぱい出てくる。嫌な男も。げっそりするけど、どうなるのかと思って、読んでしまう。
そういう話ばかりだった。
女はこんなに美醜のことに気をとられて生きている人が多いとは思わないし、こんなに友情も何もないような女ばかりだとも思わないけど、リアルで怖くて面白かった。
ただ、意地悪い感じがするので、余りこの手の話は手に取りたくない。
  以前読書会で前作「下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん」を読んだ(感想はこちら)ときも爆笑し、感動して涙をこぼして読んだが、今回もその期待をちっとも裏切らない内容だった。殺人事件がからめてはあるけど、その謎解きなんかより、馬鹿正直で、キテレツのブタゴリラみたいなボケ方のイチゴとそれを心の中で突っ込む桃子のやり取りが何より面白かった。「心を猿にして言ってやった」とか、「胃の中の買わず」(これは、イチゴじゃなくセイジ)とか、尾崎豊のフィルムコンサートで、「尾崎がよみがえる」というコピーに本当に生き返って尾崎豊で出てくると思い込んでいたりと、何度も何度も大笑いした。

恋愛はメインではないけど、照れが先行してるけど真っ直ぐなイチゴの恋心と歪んでるけど、ほのかな桃子の恋心が描かれていた。

やっぱり、最後にはボロボロと泣いてしまった。文章は前作よりずっと読みやすくなっていて、ロココの説明も前作より少なく興味を持てるくらいに留められていて、最初から最後まで中だるみなく読めた。コミック的かもしれないけど、かなり満足。
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