大雨警報が早朝に解除された。こんな雨の日は、集まりが悪いだろうかという思いが頭をかすめた。昨日の夜、メンバーの一人から欠席メールが届いていたが、他の人からは何も連絡がなかった。
読書会はたいてい私の家で集まることになっている。今日も、私の家での開催だ。散らかり放題の家を一生懸命片づけたり掃除したりして一段落ついたのが午前10時過ぎだった。
10時からのはずの読書会だが、10時に来る人はまずいない。その「ゆるさ」が私たち、読書会「話のつづら」のカラーでもある。
1ヶ月に一度、私の家にみんなが来てくれるお陰で、日頃おざなりになっている部屋の整理ができる。今日は、何年も気になっていた電話の前に剥き出しになっているたくさんのコードを工夫して、減らした。
電話はテレビとステレオに挟まれており、ゲーム(プレステ2、Wii)のコード 、インターネットやケーブルテレビのコード、勿論、電話機のコードと7、8本のコードがある。しかも、どれもコンセントまでの距離よりコードが長く、互いにからみあっている。そのせいで普段、掃除しにくいので、ほこりもたまりやすい。
ほとんどのコードをステレオの後ろに回して、2本だけが電話の前に見える状態にした。
読書会のメンバーたちは気づかないかもしれないけれど、コードが見えなくなった電話台の前のすっきりした状態に大満足♪
みんなが来てくれるお陰で、ちょっとした工夫をしてみようと思えて大助かりだ。
さて、準備は整ったが、10時半を過ぎてもまだ誰も来ず、段々、心配になってきた。
また誰も来なかったらと。
今年3月、東日本大震災のあった翌週の読書会は誰も来なかった。かろうじて、遅めから妙心寺の北門近くにあるカフェでふたりっきりの濃厚読書会となった。
そんなことを思い出していたら、10時40分になろうかというとき、メンバーが一人やってきた。そして11時くらいまでには、私を含め6人のメンバーが集まった。
みんなそれぞれ、金平糖やロイズのキャラメル・ポテトチップスやパンや焼き菓子などを持ってきてくれた。
お菓子をつまみ、以前、メンバーが持ってきてくれたアップルティーを飲みながら読書会は賑やかに始まった。
課題は「食堂かたつむり」。映画化された話題作だ。
本を読んでから映画を見たというメンバーも数人いて、話は原作と映画の比較になった。
主人公は蒼井優の方がよかったとか、イメージしていた田舎と違ったとか、映画は原作と較べ、満足度が低かったよう。先に映画を見ていたら、感想はまた違ったかもしれないが、原作でふくらんだ期待がしぼんでしまったらしい。
「食堂かたつむり」を読んでこれなかった人は一人だけで、後の5人はみな読んでいた。
登場する料理の数々、そして、祖母、母との関わり、無学のようだけれど、あったかい人柄の熊さんとのやりとりなど、あれこれ話題にのぼった。
みんなが疑問に思ったのは「水鉄砲」での受精について。
それは、母が行きずりの人と一夜を過ごしたのに、オブラートに包んで話したことなのか、実際にそうなのか? また、水鉄砲で受精が可能なのかなどなどと皆、真相はどうなんだろうと、ひっかかったよう。
処女受胎? 初恋の人に操を立てて、ずっと40代後半まで処女で通し、しかも地元有力者にバー(スナック?)と家を建ててもらうなんてありうるだろうか?
みな、いろいろ倫子の母、ルリコという人物像に疑問を感じてはいたが、この作品は全編、おとぎ話なんだから、作品そのものを楽しめばいいのだろう。
映画では設定が違っていたが、ルリコの飼っていたエルメス(Lサイズのメス豚という意味でブランド名ではない)という名前の豚の屠殺の仕方は、みな印象に残ったようだ。
そして倫子という女性の魅力。
一緒に暮らしていたインド人の恋人がある日突然、荷物もお金も何もかも持ち逃げしていなくなっていたのに、彼女は決して自堕落になったり自暴自棄にならず、地に足をつけた生活をきちんとつづけるのが素晴らしい。彼女のまっすぐな生きる姿勢、ひたむきさ、料理への情熱に拍手を送りたい。
「食堂かたつむり」の魅力はまだまだあるが、 作品中に登場する料理の本(↓)があるので、それも読んでみたい。
小雨が降り止まない正午過ぎ、会は解散した。来月は「ある小さなスズメの記録」。 |