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読書会を始め10年を経て
1999年4月、私の呼びかけで集まってくれた大橋さん、平岡さん、須藤さんの四人で読書会は始まりました。
当時は、98年に生まれたばかりの私の息子がいつもわからないなりに、一緒にいました。
2009年4月で読書会は丸10年を迎えました。
ずっと続けていくつもりで始めたのですが、何年続くか、続けられるのか、当初は全く考えてもいなかっただけに、「もう10年もやってきたのだ」と感慨深いです。
また、10年間で100冊以上の同じ本をメンバー一緒に読んだ、とわかったとき、達成感に近いものを感じました。
私たちは、本を通じて心の体験を共有してもいるように思います。
この先、いつまで続けられるのか、続くのかわかりませんが、出来る限り続けられればと願っています。
これは、私一人の力ではできません。メンバーの方たちみんなが気持ちの負担なく楽しく続けていただければ、と思っています。
何を読んできたか

読書会では、課題の本を毎月、一冊決めて、みなで読んでおき、その感想を自由に発表(おしゃべり)しています。
課題の本のジャンルはどんなものでもよく、また、読んでくることになってはいますが、「読めなかったわぁ〜」なんて方もOK。
強制や無理強いなんてほど遠い、とっても気楽なサークルです。
児童文学、ノンフィクション、エッセイ、ベストセラー、名作、いろんな分野の本が課題になっています。
詳しくは、読書会全リストをご覧下さい。(1999年〜2003年/2004年〜2009年
幼い頃から本が大好きだった私ですが、自分一人のチョイスでは、これほど、いろんな分野の本は読んでいなかったと思います。
そして、読んでみたいとは思っていても、ついつい読んでいなかった作品、例えば、ドストエフスキーの「白痴」やヘルマン・ヘッセの「デミアン」も、課題になったお陰で、読むことが出来ました。西村公朝の「仏像は語る」なぞは、課題にならなければ存在すら知らなかったかもしれません。
読んでみて、興味を引かれたものがたくさんあります。
課題を決めるのは、順番にやっていますが、村上春樹の「東京奇譚集」や綿矢りさの「夢を与える」など、全員一致で読もう! となった本も何冊もあります。

メンバーについて

最初に声を掛けた人は、京都に来て、8年間住んでいた家の隣の奥さん、大橋さんでした。
彼女は3人のお子さんのお母さんで、本好きな人であることはわかっていました。
彼女の家にはよくたくさんのママチャリが停まっていることがあり、たくさんのお友だちが集まって楽しそうでいいなぁと羨ましく思っていました。
私が住み始めて数年後に引っ越してこられたとき、彼女のお子さんは一番下のお嬢ちゃんが幼稚園、上は小学生でした。
3人も子どもがいるととっても大変だろうに、彼女の家から怒鳴り声は一度も聞こえたことがありませんでした。
いつも穏やかで笑顔の人。
そんな彼女ともっと親しくなれたらなと思っていました。
私は、隣の町内(50歩ほど離れた場所)に引っ越したのが、1997年の12月でした。
少し離れたものの、近所で行き交い、それまでとそう変わりなくご近所つきあいをしていました。
引っ越してすぐに妊娠し、それまでより不自由になり、出産し、乳飲み子を抱えて、あちこち出かけるのも難しくなりました。
とは言え、出産後7ヶ月で甲子園まで毎週、仕事に行くようになってはいましたが、こぶ付きでは、何かと支障が多く、出かけるのは一苦労でした

だから、自宅で、好きな本のことを目一杯話せたらなぁ〜! 子どもを預けなくてもいいし。と思いつき、彼女に声を掛けました。
打てば響くかのように大橋さんから快諾!

もう一方。
この人は、すぐに近所にお住まいだった方で、上の息子の公園友だちのお母さん、平岡さんにも声を掛けました。
彼女は、公園友だちのママ仲間で唯一、私を「よっちゃん」とずっと呼んでくれてる(今も)人で、親しくしていました。
何かあれば、彼女に助けを求め、下の子のシッターを頼んだこともあります。また、彼女のお嬢ちゃんも下の子を見てくれたことがあります。
料理が上手で、作り方がよくわからないとき、例えば、(そんな基本的なことを!と思われるかもしれませんが)枝豆って、水から茹でるの? お湯を沸かしてから茹でるの? なんてことも、度々、彼女に電話でアドバイスしてもらっていました。
その彼女も、読書会を一緒にしようという私の誘いに、すぐに応じてくれました。

第一回の読書会は大橋さんが選んでくれたエリザベス・キューブラー・ロスの「人生は廻る輪のように」でした。
てっきり3人で集まるものと思っていたら、大橋さんが、お子さんの幼稚園のお母さん仲間の須藤さんを連れてきてくれ、4人での読書会になりました。
平岡さんも同じ幼稚園にお嬢ちゃんを通わせていたので、須藤さんとは知人でした。

須藤さんが2000年2月に選んだ課題、「四人はなぜ死んだか」(三好万季著)を選んでくれなかったら、私は今、こうやってホームページを作ってはいない。
中学生が書いた夏休みの自由研究、和歌山カレー事件についてのレポートが「四人はなぜ死んだか」でした。
中学生がインターネットを駆使し、パソコンでレポートを書きつづり、それが文藝春秋で賞を受賞し、出版されたという内容に、私は大きな衝撃をうけました。
ワープロしか使ったことがなく、パソコンを毛嫌いしていた私が、なんと便利な物が世の中にはあるんだ! と目から鱗でした。
読んですぐにパソコンを購入し、ネットの便利さ楽しさに、そしてパソコンの機能に驚いたり喜んだり、夜もおちおち眠れないほど熱中しました。
パソコン購入して 4ヶ月後の6月には自分のホームページを作っていました。

もし、須藤さんが、あのとき、「四人はなぜ死んだか」を選んでくれていなければ、いつ何をきっかけに私はパソコンを始めていたのか、わかりません。もしかしたら、今もまだパソコンを使うことを躊躇していたのかもしれません。

人との出会いが本を連れてきて、そこから人生が変わるということを体験しました。

その翌月、2000年3月、村上春樹訳の「心臓を貫かれて」のときから、富山さんが参加され、五人になりました。

パソコンを使い出し、ホームページを作り、そんな中で知り合った人が読書会に参加してくれたこともあります。
生まれて初めて、ネットで知り合った人と会いました。
同じ京都市内にお住まいの女性でした。
お互い、ネットで知り合うということが初めてで、「宗教の勧誘だったら、どうしよう」とか「マルチ商法を勧められたら、どうしよう」など、不安を抱きつつ、緊張した面持ちでの出会いでしたが、すぐにうち解け、しばらく彼女もメンバーの一員でした。

でも、まだ若いお母さんだった彼女は次々と3人のお子さんを出産され、3人を連れてや幼稚園のお迎えを気にしなければならず
、中々、参加できなくなり、今は、年賀状だけのおつきあいのようになってしまっています。
また参加していただけたらなぁと思います。
彼女が選んでくれた村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」や、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」は、いつまでも心に残る、いい作品でした。

それから、三橋さん、松井さん、糸井さん、吉田さん、島本さん、とメンバーが増えたり、中々、参加はされないけれど、ランチのときは、来てくれる方もいます。
一回だけ参加してくれた方も何人かいます。
そのうちの一人は去年、2008年の夏、交通事故で亡くなられました。

今は、大抵、大橋さん、 須藤さん、三橋さん、吉田さん、島本さんの六人が主要となり、8月を除く、毎月一度、木曜の午前10時に集まっています。

本との出会いは人との出会いと共にあります。
どんな本を誰が選ぶか、あの人は次に何を選ぶのかも楽しみです。勿論、自分で選ぶ本も、何にするのか、楽しみながら選んでいます。

また、同じ本を読んでいても感想は様々です。感想に間違ったものなどひとつもないと思っています。感じたままを素直に話せる仲間と同じ本の感想をこれからも共有していきたいです。

2002年6月左端が私
2002年6月
天ぷら松
2003年10月

読書会以外の活動

○ランチ

読書会を始めてから、息子が幼稚園に入園するまでは、私の家以外では、集まることがありませんでした。
でも息子が入園してしばらくしてから、時折、ランチに出かけるようになりました。
堀川御池を西に入ったイルヴィラータ、松尾の天ぷら松、吉田山にある茂庵、北大路新町下がるの次郎、嵐山の桂川に面していて渡月橋も眺められるおそば屋さんのよしむら、日本に一軒しかないというスロヴェニア料理のお店、ピカポロンツァm祇園おくむら、妙心寺北門から近いすてーきれすとらん しま田、嵯峨の旅籠屋、嵐山のモンポット、大映商店街のジンなどなどいろんなレストランに行きました。
いずれも読書会+ランチということで、 食事を楽しみながら、少しお酒を傾けつつ、本について、そして諸々いろんな話題のおしゃべりを楽しみました。



○講演・映画など

読書会のメンバーははずれなく映画好きでもあり、本の話題を離れ、映画についてもよく意見交換しています。
そんな中、メンバーで、「オール・アブアウト・マイ・マザー」、「母の眠り」、「白いカラス」、「アース」を観に行きました。
また、右京ふれあい会館で「パッチギ」上映と井筒監督の講演というイベントにも行きました。

そして、読書会の課題になっているものを本で読む、読まずを問わず、読書会の時間にDVDで「ダロウェイ夫人」を観たこともありました。

「西の魔女が死んだ」で有名な梨木香歩さんの講演・朗読が、京都市中央図書館のある京都アスニーであると知ったときは、課題ではなく、みんな読んでおいて、講演に駆けつけました。
また京都出身の綿矢りささんもアスニーでイベントがあり、読書会のメンバーで参加しました。
読書会として行ったわけではありませんが、大橋さんと二人で香山りかさんの講演にも出かけました。
「仏像は語る」の著者でもある西村公朝さんが住職をされていた愛宕念仏寺に講話を聞きに行ったこともありました。


○ハイキング、博物館など

泉屋博古館、メンバーの吉田さんが案内している妙心寺、吉野のお花見、鞍馬から貴船ハイキング、嵐山の大悲閣 千光寺などに出かけました。

メンバーの島本さんが茶道をされていて、お茶会に招待してもらい、メンバー全員で、出かけたこともあります。
詳しくはこちら


読書会は、私の京都生活の一番コアな部分です。
本だけに留まらず、幅広い知的刺激と穏やかな仲間たちとの関わりにいつも、感謝しています。

追記:2010年4月、ようやく読書会に名前がつきました。読書会「話のつづら」です。

鞍馬091022
鞍馬091022
 
 

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