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塩野 七生(しおの ななみ)
1937年東京生まれ。東京都日々や高等学校、学習院大学文学部哲学科卒業。
1990年頃に「男たちへ」というエッセイがベストセラーになったときに塩野七生の著作を初めて読んだ。そのときは、エッセイは楽しめたけれど、小説を読んでみようという気になれなかった。2009年、読書会「話のつづら」で課題になり、「おとな二人の午後」という五木寛之との対談を読んだ。そのときも、スノッブな雰囲気の漂う彼女が煙たくて、話は面白いけれど、小説を読もうという気持ちになれなかった。そして、今年、2010年、再び、塩野七生の「三つの都の物語」が読書会の課題になった。
読み始めると、その魅力的な描写、華やかな衣装、宝飾品、家具や建物の描写に魅了された。また登場人物も魅力的で歴史的背景に興味がわいた。
「三つの都の物語」として三部作全てを収録された本。残念ながら、絶版の模様。
緋色のヴェネツィア/銀色のフィレンツェ/黄金のローマ/

緋色のヴェネツィア
緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)

副題「聖(サン)マルコ殺人事件」。
ヨーロッパの歴史はフランス革命以外、乏しい知識しかない私。16世紀初頭のヴェネツィア共和国については、ほとんど何も知らなかった。
何も知らない私にも、その時代を生き生きと躍動的に想像できた。
41代元首エンリコ・ダンドロを祖先に持つ名門ダンドロ家のマルコが主人公。貴族の嫡子であり、30歳にして元老院議員。そしてその友人で物語の時、元首であったアンドレア・グリッティの庶子であるアルヴィーゼ・グリッティ。遊女のオリンピア、トルコの宰相イプラヒム・パシャ。
聖(サン)マルコの鐘楼から落ちた男の死体が運ばれるところから物語は始まる。
ヴェネツィア共和国の政治の形態、トルコ大使の副官としてマルコがコンスタンチノープルへ向かう旅、トプカプ宮殿のきらびやかな様子、物語の香りを引き立てる様々な珍しい道具や宝飾品、衣装。
国と国との葛藤も、人と人、男女の愛憎もどれも織り交ぜられており、16世紀のヴェネツィアの世界にひたった。
ラストがまた絶妙!
映画化されたらいいのにと思った。宝塚の歌劇にはなっている。
マルコとオリンピアはフィクションだそうだが、アルヴィーゼが実在の人物なのかどうかは、よくわからない。
ヴェネティア共和国鋳造のデュカート金貨は金の含有率の高さとそれを300年も維持してきた実績でもっとも信用のある通貨とあった。
デュカート金貨
調べてみると、1224年に初めて作られ、重さ3.54g、24金で0.997の純度。ずっとダカート金貨という言葉は聞いたことがあったが、それのことだと思われる。日本語のカタカナ語がいろんな表記になっているducat と書くらしい。
ダカット(ducat)は1284年にジョヴァンニ ダンドロ公爵(Giovanni Dandolo)(1280-1289)治下のヴェネツィア共和国で導入された。と書いていたサイトもあった。

副題「メディチ家殺人事件」。
3年間の休職処分になったマルコがイタリア漫遊の旅に出る。
フィレンツェに入るとき、フィレンツェの君主である公爵アルッサンドロの側近の死体が発見される。
フィレンツェで宿にした半月館の主人ジョバンニが容疑者として逮捕された。
物語は、マルコの視点と、メディチ家の若いロレンツィーノの視点とで交互に構成されている。
メディチ家のことは聞いたことがある程度で、無知に近い私は、またもや、その家の歴史などに俄然、興味がわいた。
過去のメディチ家のこともあれこれと登場する。それが、説明的でうるさい感じはせず、物語に深みと奥行きを与えている。
私なりに登場人物の関係がわかるように、メディチ家の家系図を書いてみた。(ここをクリックすると別ウィンドが開いて家系図が見られます)
遊女オリンピアにマルコがプレゼントする宝飾品はラファエロの肖像画の胸元を飾る首飾りと同じデザイン、ということでラファエロの画集を見てみた。
下がその絵。ルビーとエメラルドと真珠を使い細い金の鎖を15本編んだものにつけるようオリンピアが工房で注文した。
ラファエロの肖像がの一部
文庫本の表紙はロレンツィーノの寝室にあるボッティチェリの「プリマヴェーラ」。

副題「法王庁殺人事件」。マルコは遊女オリンピアと共にローマに向かう。二人ははしばらくの間、一緒に暮らす。「髪結いの亭主」状態がどことなく居心地が悪くなり、オリンピアがそれを察して、マルコにアパルトメントを見つけてくれる。
ローマ法王パオロ三世の息子で教会軍総司令官でありパルマとパチェンツァの領主でもあるピエール・ファルネーゼ。その息子の17歳のファルネーゼ枢機卿。そしてミケランジェロ。
その3人とマルコ、オリンピアがいろんな関わりを持ちつつ、ストーリーは進んでいく。
ローマ法王や枢機卿についての説明も詳しくされている。しかし、その説明は少しも堅苦しい感じがせず、いにしえのまるで日本人の私には無関係なことだというのに、身近な噂話でも読んでいるかのように面白く読めた。
ローマはバチカンがあるために様々な国の人たちが常時、行き交う都市。古代があちこちに残っている街でもある。どこにもないような、その土地の魅力が強烈に感じた。
歴史の描写や遺跡発掘のこと、ミケランジェロの絵画のことなど、いろいろと盛り込まれているが、マルコとオリンピアの深まる愛の物語が「黄金のローマ」では核になっている。




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