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傷つかない技術
”有害な批判”から身を守る6つのカギ
エリック・メイゼル
勝野憲明 訳
傷つかない技術  
Toxic Criticism: Break the Cycle with Friends, Family, Coworkers, and Yourself  

感想

この本との出会いは、図書館でした。タイトルの「傷つかない技術”有害な批判"から身を守る6つのカギ」を見た途端、「これは私の為の本!?」と思いました。
特に「”有害な批判”から身を守る」という箇所に惹きつけられました。

私は自認できるほど(?)批判に弱いです。
辛辣な批判に身をさらした後は、青菜に塩のようにしおれ落ち込むばかり。
何度も批判の言葉が頭にこだまして、辛くて仕方ありません。
勿論、「フン」とその場では跳ね返せることもあります。けれど、つっぱねて見せても、心の中には鋭いトゲが突き刺さっています。

こどもの頃、母とあまり仲がよくなかった私は、よく母に憎まれ口をたたきました。その応酬に母から「憎たらしい子」、「かわいげのない子」、「ひねくれた子」と言われたものです。
「批判」されたという認識はありませんでしたが、(この本では、そういうものも「間接的で意味深長な批判」とされている)私は母には一度も「可愛い」と言われたことがありませんでした。
でも、末っ子(私は三人姉妹の長女)は、いつも母から「可愛い」とか「可愛いから誘拐されへんやろうか?」などと言われていました。腹に据えかねた私は、いつぞや「アホほど可愛いっていうもんな!」なんて、妹に八つ当たりしたこともあります。
中学生のとき、思春期まっただ中、自分の容姿が気になって仕方なかったときのこと、私は母に
「私って綺麗? 不細工? それとも普通?」と尋ねてみました。
母の返事は「普通」でした。
綺麗になれるよう必死で努力したのは言うまでもありません。
母親から愛されているということは、確信のようにあったので、妹に妬みを感じてはいてもグレもせず、母の注目を浴びるべく勉強に精を出したり、大学生になってからは、夜遊びしては、母に心配をかけたりしました。
結婚後、母とは仲良くなり、時折、母が「喜子(私のこと)はやさしいから」ともらしてくれるとき、胸が熱くなります。

自己顕示欲が強い私は、所謂、「出る杭」です。
結婚してから、英語を学ぼうとしたとき、あちこちから批難の声が聞こえました。
「勉強なんか、どうせ遊びやん」という友だちからの批判もありました。
母からは「(家事や育児をほっぽりだして)勉強ばっかりしてんの、ちゃうか!」なんて、説教されました。
また「頑張ってるとか努力してる人間は 暑苦しい!」と友人から冷ややかな目で見られたこともあります。
他の人がしていないような服装をしたい(目立ちたい)私は、かなりの批判を浴びることがあります。
パソコンを買ったとき、熱中して、四ヶ月ほどでホームページを作りました。そのときも、周囲からの冷ややかな視線を浴びたり、軽蔑したような口調が聞こえてきました。
パソコンを教え始めたときは「よくお金、取れるね。私ならただで教えてあげるわ」と言われました。
行政からの依頼で連続講座をやったり、雑誌に取り上げられたりするようになるとは、その人は思わなかっただろうけれど、私は、お金をもらえるだけのものがあると自負してはいても、自分が強欲な人間かもしれないと気にかかりました。
小説を書いているときも、合評会で辛い思いを何度もしました。
人格を否定されたように思えることは何度もあり、その都度、ダメージを受けました。
いえ、きっと私もいろんな人に批難、批判の言葉や態度を浴びせてきたと思います。だから、おあいこと言えば、そうかもしれません。

前置きがあまりに長くなりましたが、「傷つかない技術”有害な批判”から身を守るための6つのカギ」を図書館から借りて帰り、すぐに読み始め、まさしく私が必要なことが詰まった本だと嬉々としてページをめくりました。
読みだすと、どれもこれも有益なことばかりだと、メモを取りました。読み終わった後、B5の四分の一サイズのメモ帳に41ページのメモ書きができていました。

2年前、私は「何事も早くする」というモットーをやめ、「物事はゆっくり丁寧にする」というモットーを持つようにしました。
ガサツな私はそれと気づかず、周りを苛立てていたと思います。 モットーを変えはしても、まだまだ、やり方が荒かったり、横着だったりすることが多く残っています。けれど、「大胆不敵」や「全か無か」などが私にとって大きな意味を持っていた頃とは、少しは違うようになってきたと思っていました。
しかし、この本に出てきた「泰然自若」という言葉は、今まで(言葉としては知っていても)まったく、頭の中、心に刻まれたことのなかった言葉でした。
そして、今、これこそが、私がめざすライフスタイルだと思いました。
「強く、冷静で、物事に動じず、超然とした態度をとることは、威厳を持って生きること」という説明が本書に出ていました。
どんな批難や不用意な言葉にぶつかっても、落ち着きを失わず、役に立つ批難は検討して活用し、無視すべき批判はシャットアウトでるようになりたいです。
本書で紹介されている「6つのカギ」を使い、毎日、生き生きと楽しく充実して生活したいです。
この本は「Fireless Living」や小池能里子の本と出会ったときのように私を大きく力づけてくれました。
またアドラー心理学にも通じるものだとも思いました。

本書では、批判には
○現実としての批判(現実に受ける批判)
○想像上の批判(何かをしたら、こんな批判を受けるだろうなと思う批判)
○自分自身への批判(自分で自分を「ダメな人間だ」と思うような)
の三つがあり、また
△フェアな批判
△アンフェアな批判
の二つがあるが、いずれも有害には違いないとしています。

そして、6つのカギは

@主体性のカギ 〜 自分に向けられた批判に対して効果的に対処しなければならない理由を明確にすること
A状況判断のカギ 〜 当面している事態の重大さを瞬時に判断できるようになること
B心の態度のカギ 〜 超然として批判に動じない態度を身につけること
C感情のコントロールのカギ 〜 批判に反応する際、心をコントロールする術を身につけ、自分自身との対話を自分が意図した方向に進むようにすること
Dパーソナリティーのコントロールのカギ 〜 自分のパーソナリティをコントロールできるようになること
E行動のカギ 〜 自分を傷つける批判に対処するため、どんな行動をとることができるかを学ぶこと

の6つです。
これらをマスターしたとしても、批判に対して傷つかなくなることはないが、気持ちを切り替えることができ、自分を肯定的に捉え、前向きな行動を促すようにすれば、批判のダメージはほとんどなくなり、批判を恐れる必要もなくなるとしています。

これだけ、この本を紹介し、批判について書いたら、
「また、ごえべえ、そんなことに夢中になって。ちょっといいと思ったら、これしかないと思うのは、あんたの悪い癖や」と友人が眉をひそめるのが見えるようです(想像上の批判)。
「すぐにのめりこむなぁ」なんて蔑むような言葉も。
確かに私の欠点かもしれません。「これ!」と思ったら、必死になる。
でも、それは、私の長所なんだと思っています。
だからこそ、こうして、パソコンを教えたり、英語を教えたり、できるようになったんだと。そのことが、私をいろんなことに導いてもくれていると。
今は亡き米原万里さん(ロシア語通訳者で作家)は、「石の花」という漫画と出会ったとき、素晴らしい!と思い、20冊を友人に配ったそうです。私も、「傷つかない技術”有害な批判”から身を守るための6つのカギ」を配って回りたいくらいです。


著者のエリック・メイゼル(Eric Maisel)はアメリカのトップクラスのクリエイティヴィティー・コーチ兼セラピスト。作家や芸術家の創造性を育てるクリエイティヴィティー・コーチの第一人者であり、サンフランシスコでコーチ養成の指導者としても活躍している。
(2011.2.11)

本書で泰然自若を身につけるには、ストア派の哲学者、エピクテトス、キケロ、誇大ローマの政治家セネカ、皇帝マルクス・アウレリウスを読むことを勧めていたので、すぐに図書館で借りて読んだ。詳しくはこちら

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